保育士ではわからない、親になってわかったこと①

保育士になって30年。親になって20年。

20年続いている子育ても、末娘が10歳になり、終盤を迎えている。

そこで、保育士と親の感覚の違いや、これから親になろうとしている人に伝えてみたいことがある。

それは、『子育ては謝って育てよう』という事。

保育士も保護者に謝らなくてはならない事が多い。年齢が小さいだけに、小学校や中学校では特に問題にならないであろう、自分で転んだり、ぶつけてしまった小さい傷、子ども同士でのかみつきやひっかき傷など、状況を説明して、未然に防げなかった事をていねいに謝っている。

その度に心は痛むのであるが、親の感覚とはちょっと違う。やはり、【仕事】なのである。

保育園の子どもと自分の子ども、人によってはまったく違う』と言うが、私はあまり変わらない接し方をしていると思う。

それでも、親になって初めてわかった事。

それが、

『子育てって、こんなに色々な人に謝らなくてはいけないんだ。自分はまったく悪くないのに。こんなにがんばっているのに』

と言う事。

混んだ道を歩いたり、電車やバスに乗ったり、日常の普通のことなのに、ベビーカーだと「なんでこんなに混んだ所にくるの?」という白い目で見られ、いつ泣き出すか、いつ駄々をこねだすかビクビクするということ。あまりに迷惑な時は、オムツやミルクなどの大荷物を抱えながら、赤ちゃんを抱き、ベビーカーをたたんで持つようにしていたが、本当に心身ともにクタクタになった事を思い出す。

我が子はそれほどヤンチャではなく、大人しいほうかと思っていたが、小学校では、「学校でお友達にケガをさせたので謝って下さい」と先生から何度電話がかかってきたことか。

6年生の時には、友だちは給食で並んでいた所にふざけてスライディングしたらしく、相手の子が転んで前歯2本が折れてしまった。本当に『何て事をするんだ』という気持ち。謝っても謝りきれない思いである。保険に入っていて良かった。100万円かかったが、何ができるかといえば、それ位しか親のできることはない。

子どものやった事は、自分がやったと同じ事なのである。

学歴の高い、まじめな人こそ、子育てに失敗しがちとよく言われる。他人に迷惑をかけないように、一人でがんばり続けることが良いことと信じている。

勉強は努力すればしただけ、結果が得られる。しかし、子育ては努力が報われるとは限らない。

努力が子どもの望むものでなかったら、親が努力すればするほど、心が離れていく。

子育ては一人で努力することが良いとは限らない。

もっと肩の力を抜いて、親や他人に頼っていいのだ。

保育士は仕事として、謝らないよう、日々努力することが大事だが、親は色々な人に助けてもらって、『ありがとう』『ごめんなさい』がたくさん言えた方が、子どもも親自身も幸せなのだ。

子どもにイライラする母親のイラスト(カラー)

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denim

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